2021年12月2日
株式会社ビズリーチ
~HRMOS WorkTech研究所:人事担当者へアンケート~リモートワーク実施企業の47%で「人事評価の問題が発生、または拡大」 「モチベーション・コミュニケーション状況の把握・評価」が問題に
Visionalグループの株式会社ビズリーチ(所在地:東京都渋谷区/代表取締役社長:多田洋祐)が運営する「HRMOS WorkTech研究所」は、企業の人事担当者を対象にリモートワークにおける人事評価の問題点に関するアンケート調査を実施しました(有効回答数:316件)。
リモートワーク導入企業の人事評価:47%で新たな問題が発生、または既存の問題が拡大
本アンケートの結果、リモートワークを実施している企業のうち、47%が人事評価における問題が新たに発生、または既存の問題が拡大したと回答しました。新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、多くの企業でリモートワークへの移行が進みましたが、今後の働き方の変化に合わせて、各社は人事評価や従業員間のコミュニケーションのあり方についても対応が必要になると考えられます。
新たに発生した人事評価の問題は「コミュニケーション状況やモチベーションなどの把握・評価」
リモートワークの実施によって新たに発生した問題を具体的に質問したところ、65.8%が「チームでのコミュニケーション状況の把握・評価ができない」と回答し、57.3%が「モチベーションや感情といった業務外の面の把握・評価ができない」と回答しました。多くの企業では、実績や成果だけではなく、コミュニケーション状況やモチベーションなど、定性的な観点をふまえた人事評価が行われていると推測されます。リモートワークにより、従業員同士や上司・部下間の対面でのコミュニケーションが減るなか、定性的な情報の把握や評価が困難だと多くの企業が感じていることが鮮明となりました。
リモートワークで拡大した既存の問題は「評価者による評価のばらつきと評価基準のあいまいさ」
リモートワークによって拡大した既存の人事評価の問題点として、「評価者による評価のばらつき(48.2%)」と「評価基準があいまい(45.5%)」という回答が多い結果となりました。
リモートワーク下では、実績や成果以外の情報を把握することが難しくなるため、評価者による評価のばらつきやあいまいさが問題として拡大したと推測されます。また、従業員の間接的な貢献やモチベーションをいかに把握するか、コミュニケーションの工夫が必要となるため、評価者がリモートワーク下でのコミュニケーションに秀でていなければ、人事評価の難度は上がると推測されます。
<フリー回答:一部抜粋>
Q. リモートワークの実施により、新たに生じた人事評価の問題を具体的に教えてください。
プロセスではなく成果がより評価されるようになった
・より実績に基づいた評価がされる傾向にあり、コンピテンシーの側面が評価しづらい。(人事部門 評価・給与担当/300名以上1,000名未満/サービス業)
・日常から得られる情報が減ったことにより、プロセスから成果へと評価の比重が移っている印象がある。特に若手はプロセスにおけるサポートが受けにくいため、成果に結びつきにくくなる傾向がある。その影響から社内でもキャリアの格差が生まれている。(人事部門 課長/100名以上300名未満/IT・インターネット)
業務以外(モチベーション・コミュニケーション状況等)の把握の問題
・具体的な業務実態の把握が難しいことに加えて、コミュニケーション状況を評価に反映しにくくなった。(営業部門 部長[人事兼務]/300名以上1,000名未満/製造業)
・本人が意欲を落としていても気づきにくくなった。(経営者・役員/50名未満/製造業)
・モチベーションやキャリア志向について把握する機会が減った。(評価・給与担当/50名以上100名未満/IT・インターネット)
・同じチームでないメンバーの正しい評価を把握することが難しく、経営陣の耳にも届かない。抜てき人事などが難しくなった。(評価・給与部門 マネージャー/100名以上300名未満/IT・インターネット)
評価制度の問題
・360度評価をしているがリモートワークの推進により、評価が限定的になってしまった。関わりが少ない社員は同じメンバーからしか評価されないため、劇的に成果や態度を変えない限り、評価が固定されている。(採用・人事制度担当/100名以上300名未満/IT・インターネット)
Q. 新たに発生した問題の解決に向けて実施していることがあれば、ご入力ください。
1on1やフィードバックの頻度を高める
・評価面接・フィードバックの頻度を高めて問題の把握ができるように対応している。(経営企画部門 部長/100名以上300名未満/電気・ガス・水道業)
・従業員同士・チーム間のコミュニケーションを強化するため、部門ミーティングの実施を義務化。コミュニケーションルールの導入を行った。(人事部門 部長/50名以上100名未満/不動産業、物品賃貸業)
・1on1など対面コミュニケーションの頻度を高めた。(人事担当/50名未満/製造業)
人事評価制度の変更
・目標・評価制度をMBOからOKRに変更することで、リモートワークでも適切な評価ができるよう運用を開始した。(労務、評価・給与担当/50名未満/IT・インターネット)
・1on1ミーティングの推奨に加えて、グレードに応じた定性評価基準を策定した。(人事部門 マネージャー/50名以上100名未満/金融業・保険業)
システム・テクノロジーの導入
・タレントマネジメントシステムを活用することで、抜てき人事などに生かせないか検討中。(人事部門 マネージャー/100名以上300名未満/製造業)
・横のつながりがなくなり、なかなか他部署やチーム間での情報共有が難しくなっているので、バーチャルオフィス等の導入を実施。(人事・組織開発担当/50名以上100名未満/IT・インターネット)
考察コメント:HRMOS WorkTech研究所 所長 友部 博教
2020年に拡大した新型コロナウイルス感染症は、国内でも働き方を大きく変化させました。東京都内の企業(従業員30人以上)で2021年10月のリモートワーク実施率は55.4%※1で、都内の企業の半数では現在もリモートワークを継続しています。企業によっては、徐々にリモートワークから出社に戻したり、リモートワークと出社を組み合わせたハイブリッドの働き方を行ったりするなど、各社が働き方の方針を模索している状況です。
リモートワークによる新しい働き方は、これまでの人事評価における問題点にも変化をもたらしました。対面で仕事をしているときは、会議以外での会話が発生するため、上司と部下の間で情報を共有する時間がありました。また、同じフロアにいるだけで、従業員の仕草や表情などの非言語情報を把握でき、それらが評価者にとっては重要な役割を担っていました。
リモートワーク下ではこうした情報が不足するため、マネジメントや人事評価の難度が上がり、特に、実績や成果だけではない評価を行う際に、これらの情報把握に影響があった可能性が高いと推測されます。リモートワーク下で発生する人事評価の問題点を解決するために、「リモートワークがよいのか、オフィス勤務がよいのか」という働き方についてのみ議論するのではなく、どのようにすれば従業員一人一人の状況を把握したうえで適切に評価を行えるかを考えることが重要であると考えます。
第一の手段としては、コミュニケーションの強化です。そのために、半期の評価面談だけではなく、1on1などマネージャーとメンバー間のコミュニケーションを活性化させる仕組み・ツールが重要となります。また、情報収集や集めたデータの効果的な管理・分析ができるテクノロジーも重要です。パルスサーベイは、タイムリーな従業員のコンディション把握に有効な手段ですが、より効果的に従業員の状況を把握・分析するためには、タレントマネジメントシステムのように、従業員一人一人の変化を情報として記録したり、従業員情報を一元化することで経年変化や組織・部門単位で分析したりできるツールを用いるのも有効な手段です。
※1 東京都 産業労働局「テレワーク実施率調査結果」(10月の調査結果)
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/11/11/12.html
調査概要 HRMOS WorkTech研究所「リモートワークと人事評価に関するアンケート」
対象:ビズリーチを利用している人事担当者
調査期間:2021年10月4日~2021年10月28日
有効回答数:316件
回答率は端数処理の関係で合計が100%にならない場合があります。
人財活用プラットフォーム「HRMOS(ハーモス)」シリーズについて
人財活用プラットフォーム「HRMOS」シリーズは、採用から入社後の活躍までの人事業務支援と従業員情報の一元化・可視化により、エビデンスに基づいた人財活用を実現するサービスです。HRMOSシリーズの一つである、人材管理クラウド「HRMOSタレントマネジメント」は、従業員データベースを中心に、目標・評価管理、1on1支援、組織診断サーベイなどの機能を提供しています。「HRMOS採用」と「HRMOSタレントマネジメント」を連携させることにより、採用の選考時から入社後の活躍まで従業員情報を一気通貫で活用できます。企業の人事は、「HRMOS」シリーズにより従業員一人一人の多面的なデータを可視化し、適切な人材登用・人材配置へ生かすことができます。
株式会社ビズリーチについて
「すべての人が『自分の可能性』を信じられる社会をつくる」をミッションとし、2009年4月より、働き方の未来を支えるさまざまなインターネットサービスを運営。東京本社のほか、大阪、名古屋、福岡、静岡、広島に拠点を持つ。即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」、人財活用プラットフォーム「HRMOS(ハーモス)」シリーズ、挑戦する20代の転職サイト「キャリトレ」、OB/OG訪問ネットワークサービス「ビズリーチ・キャンパス」を展開。2020年2月、グループ経営体制への移行にともなって誕生したVisionalグループにおいて、主にHR TechのプラットフォームやSaaS事業を担う。
Visionalについて
「新しい可能性を、次々と。」をグループミッションとし、HR Tech領域を中心に、産業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するさまざまな事業を展開。「ビズリーチ」をはじめとした採用プラットフォームや、人財活用プラットフォーム「HRMOS」シリーズを中心に、企業の人材活用・人材戦略(HCM)エコシステムの構築を目指す。また、事業承継M&A、物流Tech、サイバーセキュリティ、Sales Techの領域においても、新規事業を次々に立ち上げている。