2022年1月4日

株式会社ビズリーチ

年頭所感

謹んで新年のご挨拶を申し上げます。旧年中は格別のご厚情を賜り、心より感謝申し上げます。

昨年4月に当社のホールディングカンパニーであるビジョナル株式会社が、東京証券取引所マザーズ市場へ上場いたしました。
これまで当社を支えていただいた会員の皆様、お取引先企業様、株主様をはじめとするステークホルダーの皆様のご支援の賜物と心より感謝申し上げます。

2021年は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、ビジネスパーソン一人一人が自分の働き方やキャリアについて、これまでにないほど考えを深めた年だったのではないでしょうか。
昨年ビズリーチ会員を対象に行った調査では、コロナ禍の状況下で84.6%が転職に対する意欲が向上し、「主体的なキャリア形成が重要」とする割合も9割にのぼりました。大企業であっても外的要因が経営に大きな影響を及ぼすことが浮き彫りとなり、主体的にキャリアを形成しようとする個人の方が大きく増えたように感じます。さらにリモートワークの定着をきっかけに、多くの個人が働く場所にとらわれずにキャリアを選ぶようになりました。

新型コロナウイルス感染症再拡大の懸念は消えないものの、9月に緊急事態宣言が解除された後、飲食や宿泊などを中心に国内の経済活動は再開が進みました。
しかしそこで課題となったのは、コロナ禍前に深刻化していた人手不足です。帝国データバンク様の調査では、正社員の人手不足割合は2020年5月を底にして上昇傾向が続き、コロナ禍前の水準に近づきつつあります。コロナ禍の状況下におけるキャリアへの考え方・働き方の変化と、かねて進んでいた人口減により、企業は今以上に即戦力人材の確保が難しい時代になったといえます。今まさに「企業が働く人を選ぶ時代」から「働く人から企業が選ばれる」時代へと変化しており、企業の人材獲得・育成競争が激化するでしょう。

人材への投資はこれまで以上に重要になります。それを象徴するかのように、2021年は、社会人の「リスキリング(新たに必要となるスキルの習得)」という言葉に注目が集まりました。社内に精通した人材に、時代にあったスキルを身につけてもらうことで企業の力を底上げできます。また、リスキリングは働く人に選ばれ続けるために企業が取り組む変革の一つでもあります。
働き方やキャリアが多様化する今、人を生かす企業であるためには、従業員一人一人のスキルや経験を適切に把握し、評価する仕組みが必要です。当社は人財活用プラットフォーム「HRMOS」シリーズの機能拡充にこれまで以上に注力し、お客様のご期待に応えていきたいと考えております。

今年、大学生活のおよそ半分をコロナ禍の状況下で過ごした方が社会に出ようとしています。当社が運営する20代向け転職サイト「キャリトレ」やOB/OG訪問ネットワークサービス「ビズリーチ・キャンパス」を通じて、20代の多くがキャリアを単線ではなく複線で考え、多様な働き方を検討するようになっていると感じます。学生の頃からキャリアに主体的に向きあう個人が増えるなかで、キャリア教育の必要性はさらに高まるでしょう。

未来の予測は簡単ではありませんが、2022年、私は人材業界においても新たな常識が誕生する年になるのではないかと考えています。
「キャリアは自分自身の手で選択し続けられる」。そう考えて行動する個人が多数派になる社会は、目の前に来ているのではないでしょうか。そうした社会では、身体の健康診断をするように、定期的に「キャリアの健康診断」をすることも一般化すると考えています。

コロナ禍の状況下で起きた働き方やキャリア形成の変化は、きっかけにすぎません。この領域で真の意味でのイノベーションが生まれるのはまだこれからです。
当社は、事業を通じて、一人一人の働き方に生涯寄り添い、新しい時代に向けた働き方の変革を支えるための「キャリアインフラ」となれるよう、精進を続けてまいります。

新年もどうぞ、よろしくお願いいたします。

株式会社ビズリーチ
代表取締役社長
多田 洋祐